名人・上手
「弘法筆を選ばず」と言い「好きこそ物の上手なれ」と言う。弘法大師は多分生来手筋が良かったのだろう。ではあるが、これも多分、であるからと言うべきか、習字を好んだものと考えられる。このように予測することには、それほどの無理はない。上手が好んで習えば、結果はどうなるか知れている。大変な名人・上手になったわけである。 先日ある集まりで、改めて名人であり上手であろう人物に出会う機会を得た。それをキーワードで表現するなら、溢れる豊かな人間性、挫けない忍耐力、問題に対する関心の強さとそれに取り組むことへの類なき興味・関心・好奇心、工夫、強い確信、信念などになる。その人物は自分の駆使する物を、次元のちがう物と表現したが、次元の違いはその物ではなく、現時点では駆使する当のご本人であろうと直感した。やがて何時の日か、その物が次元の違いを証明されるかも知れない。しかし、多分それは、遥に遠い未来のことになるだろう。それを次元を超えその人物は、世界中で誰も実現していない方法によって難問を救済し始めている。名人・上手とは、ある直感による(信念と言っても良い)独自の方法により、感動を与える者であろう。南方熊楠、粘菌や苔に夢中になった男。私はその人物の話を聞きながら、南方のことを考えていた。
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