思わぬ展開
物事には思はぬ展開がある。依頼されたので引き受けることは、別に珍しいことではない。しかし、依頼主が本心を隠し、依頼文などが事の本質を伝えていなかった場合は、実は不十分な依頼内容に従って対応することになり、結末は累卵のように危うい。私の職業は、まあどちらかと言えば、依頼には信頼がおけることが多いと考えられるものに属しているようだ。回りくどい書き方をするのは、時には信頼を裏切るようなこともあり、ある場合には強いて不十分で曖昧な依頼書が書かれることもあるからだ。人のやることだから仕方がない面は認めるが、しばしば困った結果を招く。ある方が専門にしている領域での問題の解決よりも、その領域と関連する領域の解決が先決と判断される場合には、関連領域の専門家に紹介することは日常的である。しかし、ある方の専門領域で実は非常に深刻な問題があるにもかかわらず、それを伏せたままで別の関連領域の、喫緊の問題ではない領域の専門家に紹介したらどうだろうか。後者は専門ではない領域の問題の解決にも携わらずを得ず、大変な消耗状態に陥る。問題解決のためには、冷静な見極めが求められる。ただ前者が実は投げ出したくなっていて、感情的になっていて、意図的に深刻な問題を伏せたらどうだろうか。人間だからこんな気持ちになることはある。疲れてしまうことがある。そんな時には一旦受け入れてから、相手の立場に十分な理解を示しつつ、逆紹介を試みると、相手は自分の誤り、疲れから来る逸脱に気づいて、再度勇気を出してくれるものだ。それでも言い逃れたりする手合いは論外であるが、この勇気には協力者、賛同者が加わることが多い。結果は極めて幸福である。
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